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ケトン類とケトン体【精油の科学】

blancheblanche

更新日:3月7日

アロマテラピーの勉強をしていると出てくる「ケトン類」と言う言葉。


看護師ならおなじみのケトン体を連想するのではないでしょうか。


ケトン体とケトン類は同じものなのか?って思いますよね。私も思いました(笑)


この質問をしたときに先生の返答は「別物です」でした。


その時の私は「生物の代謝産物はケトン体、植物の代謝産物はケトン類」という感覚で覚えました。




ケトン体とは?


一般の人が「ケトン体」という言葉を聞くことはあまりないと思うのですが、妊娠悪阻で入院を経験している人はこの「ケトン」という単語を聞くことがあるかもしれません。



 


ケトン体とケトン類の科学的分類


ケトン体とケトン類は、どちらも有機化学的には「カルボニル基(C=O)」を持つ化合物ですが、その定義と分類には違いがあります。



 

1. ケトン類(Ketones)



ケトン類は有機化合物の一種で、カルボニル基(C=O)が2つの炭素原子に結合している化合物群です。一般的に、ケトン類は以下のように分類されます。



化学的定義(ケトン類)

  • カルボニル基(C=O)が2つの炭素(C)に結合している有機化合物。

  • 一般的な構造式: R-CO-R'ここで、RおよびR'は炭化水素基または水素です。

  • 代表的なケトン類: アセトン(CH₃COCH₃)、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノンなど。



ケトン類の特徴

  • ケトン類(-CO-)は、アルデヒド(-CHO)と異なり、カルボニル基が両側で炭化水素基に挟まれている。

  • 水と比較的よく溶け、極性分子であるため、溶媒として利用されることが多い。

  • 酸化されにくく、アルデヒドとは異なり、銀鏡反応やフェーリング反応を示さない。



 

精油の科学におけるケトン類



精油中のケトン類は、カルボニル基(C=O)を持つ有機化合物群であり、主に揮発性の高い香り成分として存在します。


ケトン類は、精油の香りに重要な役割を果たし、特に花や果物の香りを強調することが多いです。


化学的には、ケトン類は非極性または弱い極性の化合物で、水に溶けにくいですが、油やアルコールには溶けやすいです。



代表的なケトン類:

  • カンファー(Camphor): 清涼感のある香り。

  • シクロヘキサノン(Cyclohexanone): 甘い花のような香り。

  • アセト酢酸メチル(Methyl Acetoacetate): 果物のような香り。



特徴:

  • 揮発性が高く、香料や精油において重要な香り成分。

  • 少量で長時間香りが持続する。

  • 脂溶性。



ケトン類は、高濃度で使用すると皮膚刺激を引き起こすことがあるため、適切な使用が推奨されます。


他にも注意するべきことがありますが、それはアロマ・アドバイザーで学びます。


ケトンが含まれている精油全てに禁忌・注意事項があるわけではありません。


含まれる量やほかの芳香成分とのバランスもあるのです。


 

2. ケトン体(Ketone Bodies)



ケトン体は、生体内で糖質不足や飢餓状態などにおいて、エネルギー源として生成される代謝産物群のことを指します。


ケトン体の中にはケトン類に該当するものと、ケトン類に含まれないものがあります



生理学的定義(ケトン体)

  • 脂肪酸の代謝によって生成され、特にエネルギー源として利用される水溶性有機化合物。

  • 主なケトン体:

    1. アセト酢酸(C₄H₆O₃)(ケトン類に該当)

    2. β-ヒドロキシ酪酸(C₄H₆O₃)(厳密にはケトン類ではなくヒドロキシ酸)

    3. アセトン(C₃H₆O)(ケトン類に該当、エネルギーとしてはほとんど使用されない)



ケトン体の特徴

  • エネルギー源として、特に脳や筋肉、心臓で使用される。

  • 通常時は低濃度(0.1 mM以下)だが、糖質制限や断食、飢餓時に増加。

  • 糖尿病のケトアシドーシスなど、過剰に蓄積すると血液が酸性になり、体に害を及ぼす可能性がある。

  • 水溶性。



 

結論


ケトン体は広義にはケトン類の一部を含みますが、完全に同義ではありません。



  • ケトン類化学的な分類で、カルボニル基(C=O)が2つの炭素に結合した化合物のグループです。

  • ケトン体生理的な定義で、脂肪酸の代謝によって生成され、エネルギー源として使用される有機化合物群。ケトン体に分類されるものの中には、にはケトン類に該当するもの(アセト酢酸、アセトン)と該当しないもの(β-ヒドロキシ酪酸)があるので、「完全にケトン類に分類されるもの」とは言えないのです。



一部のケトン体はケトン類に分類される成分ではありますが、そうでない成分も含んでいること


ケトン体の定義からケトン類に属さない成分もあるという意味では


精油におけるケトン類と生物における代謝物質であるケトン体は、別物といえるのです。

 
 
 

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