富士吉田市のアロマテラピースクール&サロン Blanche です。
今回は新型コロナウイルス感染による嗅覚障害についてと、嗅覚刺激療法についてです。
目次
新型コロナウイルスの今
新型コロナが令和5年5月8日から5類に分類されてから4ヶ月経過しました。
しかし、新型コロナは収まるどころか広がり続けています。
医療機関では第9波を迎えていますが、今流行しているのはや「BA.2.86」通称「ピロラ」、「EG.5」通称「エリス」かと思われます。
新型コロナウイルスは、インフルエンザウイルス同様、少しづつ変異していくことで何度も感染する可能性があります。
COVID-19による嗅覚障害
嗅覚障害は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の特徴的な症状と見なされていたが、最近ではウイルスの進化に伴い、それほど見られなくなりつつありました。
しかし、この「エリス」の感染拡大により、その症状が増えてきたように感じています。
アメリカの研究によると、化学感覚障害(嗅覚消失や味覚消失)を起こす頻度が
アルファ株に感染した人は、50%に減少。
デルタ株では44%減少、
最近のオミクロン株では17%まで頻度が減少したと報告されています。
そして、パンデミックの初期に感染した人は、かなりの割合で今でも化学感覚障害が残っている症例もあるそうです。
2021年の研究2では、軽症のCOVID-19にかかったことのある100人の感染経験者の7%は、感染から1年後でもなお嗅覚を完全に失っている、医学用語で「無嗅覚症」と呼ばれる状態だったそうです。
破壊された核内構造
SARS-CoV-2(コロナウイルスのこと:COVID-19発症の原因ウイルス)がこのような異常を引き起こすメカニズムはまだ感染に解明されてはいません。しかし、わかっていることもあります。
パンデミックの初期に行われた研究で、SARS-CoV-2が鼻の中の支持細胞と呼ばれる細胞に感染することが明らかにされています。
この細胞には嗅神経細胞の位置を固定し、栄養を供給する役割があります。
SARS-CoV-2は、細胞表面のACE2と呼ばれる受容体を介して細胞を攻撃します。
支持細胞はACE2受容体をたくさん持っていますが、嗅覚ニューロンは数がそこまで多くありません。従って、コロナウイルスは支持細胞に感染し、その結果ニューロンを弱らせて栄養が枯渇した状態にすると考えられています。
コロンビア大学(米国ニューヨーク)の生化学者Stavros LomvardasらがCOVID-19で死亡した患者を調べたところ、嗅神経細胞は失われてはいなかったが、匂い分子を感知する膜受容体の数が正常よりも減っていることが分かったと報告されています。
それは嗅神経細胞の核内構造が破壊されていたことを示しています。
嗅覚消失を起こした人の脳に、持続的な変化が生じるという研究結果もあります。
2022年3月に発表されたこの研究では、COVID-19にかかった人では、嗅覚中枢と見なされている脳領域に、組織損傷を示す所見を含む多様な変化が認められたといいます。そのような変化が生じた過程は明らかではないが、その1つの可能性として、入力の欠如が考えられます。
「鼻からの入力を遮断してやると脳は萎縮します」と、モネル化学感覚センターの遺伝学者Danielle Reedは話していたそうです。「これは味覚と嗅覚について分かっている最も明確な事実の1つです」と。
嗅細胞の死滅と再生
嗅細胞は死滅と再生を繰り返す細胞です。
新生した嗅細胞は匂い入力を受けた場合に成熟しますが、特に生まれてから7~14日の間に 匂い入力を受けることが重要であることが分かっています。 7~14日の間に嗅神経に匂い入力を受けないと、 未熟な嗅細胞が成熟せずに細胞死してしまいます 。
つまり、新しい細胞ができたとしても、嗅神経がにおいの情報をキャッチできなければ新しくできた嗅細胞は死滅してしまうのです。
新しくできた嗅細胞から嗅神経にどのようににおいの情報を渡しているのかというのは未だ解明されていません。
しかし、嗅覚リハビリテーションを行う有意性はあります。
コロナの感染により嗅覚障害を経験した患者の約60%が2週間以内に改善しているとの報告が多いです。
これは嗅細胞が成熟する期間と合致してきます。
コロナウイルスによって攻撃され、破壊された嗅細胞がにおいを感じ取れなくなったとしても新しく造られた嗅細胞が成熟するまでの約2週間の間、香りによる刺激を与え続ければ、その細胞が成熟したタイミングで嗅覚が戻る可能性があるということをしめしているのではないかと思います。
(嗅覚が戻らなかった場合、嗅覚刺激がなかったことで嗅細胞が死滅した、もしくは何らかの原因で嗅細胞からの嗅覚刺激が嗅神経まで届かなかった、という可能性も考えられます。)
今現在、失われた嗅覚を取り戻す治療法はありません。
その中で20年前から確立しているのは嗅覚刺激療法と呼ばれるもので、においを学習しなおすという訓練です。
嗅覚刺激療法
嗅覚トレーニング、嗅覚リハビリテーションなどと呼ばれることもあります。
ドイツで実績を上げたと―レーニンぐ方法です。
感冒後嗅覚障害や外傷性嗅覚障害の患者がこのトレーニングを行い、
4ヶ月続けて約25%、8ヶ月で約40%の人に嗅覚の改善がみられたと報告されています。
<嗅覚刺激療法のやり方>
1日2回、バラ、レモン、ユーカリ、クローブの4種類のエッセンシャルオイル(精油)の香りを各10秒づつ嗅ぐ。これを毎日、朝・晩の2回。
香りは上記のものが有名ですが、香りのあるものなら何でもいいのです。
好きな香水、コーヒー、レモン、花、鰹節、カレー粉などでもOKです。
3~4種類あると良いですが、続けることが大事です。
朝晩2回、10秒ずつでも続けるのが不安な飽き性な方は、毎回食事のたび、においのあるものを手にしたときに、においを意識して嗅ぎます。
ご飯、しょうゆ、果物、新聞紙、植物、などなど。
この嗅覚トレーニングには、新たに形成された嗅細胞の活性化や生存、形成されるペースの促進、あるいは鼻と脳とのつながりの再構築といった効果が期待されています。
かぜやインフルエンザなどのウイルス感染や脳の損傷、老化などで失われた嗅覚を回復させるために行われている方法です。
においを感じることができないというのはとってもストレスです。
嗅覚障害にお悩みの方は根気よく、気長に取り組んでみてください。
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富士吉田市 ナード・アロマテラピー協会 アロマ・アドバイザー認定校 Blanche
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