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精油は2時間で代謝される?

  • 執筆者の写真: 世理 有薗
    世理 有薗
  • 11月6日
  • 読了時間: 3分

「精油を使用したトリートメントを受けた後、具合悪くなった」という方がいらっしゃいました。


詳しくお話を聞くと、施術者の方から

「2時間経ったら体外に排出されるから2時間様子見てと言われた」そうです。




結論からいいますと、精油は2時間では排出されません。




有名なラベンダー精油の代謝の実験があるのですが、リナロールの最大薬効が20分であると言う結果が示されています。


そして、リナロールが血中からほとんど検出されなくなるまでが約90分です。

完全に排泄されるまでには5〜24時間以上かかるといわれています。

(条件及び個人の代謝に差がでるため振り幅が大きい)




リナロールは肝臓で代謝され、酸化➡水酸化➡グルクロン酸抱合体となって、尿中へ排出されます。


リナロールは代謝されることで、人体になにも影響を及ぼさなくなるのではなく、形を変えて人体に影響を与えます。





1.Jäger et al., 1992(ドイツ)


  • 対象:健常成人男性

  • 投与経路:リナロールを含む精油の経皮塗布(背部)

  • 測定方法:GC(ガスクロマトグラフィー)による血中測定

  • 結果

    • 最長で約18〜24時間後にも血中に微量のリナロールが検出

    • 尿中排泄も一部で24時間以上持続





2.Akhondzadeh et al., 2003(イラン)


  • 経口摂取での臨床データ(ラベンダーオイルの摂取)

  • 蓄積性や代謝物の体内残留が複数日(72時間)にわたり影響する可能性があると示唆





これは比較的分子量の小さなラベンダー精油を使用してリナロールの血中動態を観察した実験ですが、分子量が大きいもの、あるいは毒性が強いもの(代謝しにくいもの)なら、代謝されるまでにもっと時間がかかります。


さらに、濃度や量、塗布する場所によっても結果は自ずと変わってきます。


代謝に時間がかかるということは、それだけ肝臓に負担になるということでもあります。

なので、それが「肝毒性」と呼ばれるものの機序のひとつにつながってきたりします。



なので、精油で体調が悪くなった時は、「2時間で良くなる」のではなく、量が少なくて低濃度で、代謝が速い芳香分子の成分なら、2時間程度で一次代謝がある程度進んでいる可能性はあるって程度。

それに伴って体調に変化が起こる可能性はあるけど、それが良い意味での変化とは限らない、というのを念頭に入れておいてほしいと思います。(一次代謝によってできた物質によって具合が悪くなる場合も可能性としてはあるってこと。)




私もマジョラム使って眩暈が起きたことがあったんですよね。

その時に、「2時間待って回復しなかったらどうしようかなー」なんて考えてて。

まぁ、2時間くらい経ったら回復してきたんですけどね。



正直、病院行ったところでできることなんてほとんどないんですけどね。

そもそも、その時に使った精油がわからないとだし、ほとんどの場合は病院でも代謝が終わるまでどうにもできないと思います。

毒性により肝障害や腎障害などが起きているとかの重篤な場合は別として。

この場合は即治療が必要になります。


まあ、なので、初めて使用する精油をたくさんブレンドして、更に高濃度で全身に塗るなんでのはとっても危険なんですよね。

アレルギーもだけど、芳香成分だって合わないもんは合わない。


そのためのパッチテストです。


ちなみに、肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれるほど体にサインを出さない臓器で、症状が出た頃にはほとんどが重症になってるですよね。

精油は薬ではないけど、肝臓などの臓器に負担をかけるものでもあります。


その辺留意して、正しくアロマテラピーを楽しみたいですね。

 
 
 

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